音風ソナタだよ! 今日はね、日本人はマスト、世界中の人が21世紀のクリスマスで絶対に聴くべきだと僕が思っている特別な曲について紹介するよ。「田中カレン」さんの子供のためのピアノ曲集『愛は風にのって』から、とっても素敵な「クリスマスの思い出」って曲をみんなに聴いてほしいんだ。
『愛は風にのって』ってホントに「子供のため」の曲集?
田中カレンさんの「クリスマスの思い出」が納められたの曲集『愛は風にのって』。実はね、彼女の恩師である三善晃さんへの深い愛情と四季折々の思い出が詰まっているんだよ。2013年に亡くなった三善 晃さんは、桐朋音楽大学の名誉学長で、日本音楽界でめちゃくちゃ尊敬されている作曲家なんだ。三善 晃さんがどれくらい偉いのかっていうと、エンタメ会で言えばタモリ、、、といっても到底伝わらないので、武満 徹と並んで20世紀の日本が生んだ世界に誇る最高の作曲家の一人、といって僕の恥にならない偉人だよ。葛飾北斎なんかと同様に、海外の人から高い尊敬を集めるような偉大な芸術家なんだ。田中カレンさんは、その偉大な三善さんのお弟子さんだったんだ。
でね、面白いのはこの曲集は「子供のため」の曲集ということになっていて、確かに難易度は子供でも弾けるんだけど、作品に添えられているタイトルは子供に理解が難しいと思うものが少なくない。
田中カレン:こどものためのピアノ小品集 「愛は風にのって」
―三善晃先生の思い出に―
【春】
1 戯れる春の光 2 小鳥たちと 3 子猫のスーちゃん 4 小さな置き時計
5 沈黙と余韻 6 笛吹きと縄文土器
【夏】
7 ある夏の朝 8 雨蛙 9 326の秘密 10 遠い海の思い出 11 螺旋の色彩
【秋】
12 琥珀色の秋の夕暮れ 13 ラム酒の樽 14 淋しい料理人
15 黒のタートルネック 16 今宵はワインで
【冬】
17 ほのかな冬の灯り 18 揺れる煙と眼差し 19 セーターの贈り物
20 クリスマスの思い出 21 愛は風にのって
子供にも理解しやすいタイトルも多いけど、「今宵はワインで」とか「揺れる煙と眼差し」って言われても、おそらく子供には理解できないよね。それにね、第19曲は「セーターの贈り物」ってなってて、第20曲が「クリスマスの思い出」ってなって、最後が「愛は風にのって」という曲集タイトル曲で締めくくられてる。この気持ちは僕みたいな「子供」に推し量ることができるのかな?
明らかに田中さんの「強い個人的な大人の思い入れ」を感じないわけにはいかないよね。
「クリスマスの思い出」の聴きどころ
この曲集『愛は風にのって』が2019年に出版されたことは、三善さんが亡くなったのは2013年だから、彼女がその敬愛の気持ちを曲に込めて、何年もかけて完成させたのかもしれないね。
でもね、2020年の2月に、ピアニストの中道祐子さんがこの曲集をCDとしてリリースしてくれたんだ。中道祐子さんと彼女の姉である中道郁代さんは両方とも桐朋音楽大学出身で、特に郁代さんは田中カレンさんと年齢が近いから、桐朋時代からの知り合いかもしれないね。中道祐子さんがこの曲集をCDにすることで、田中さんの思いがより多くの人に届くことになったんだ。
「クリスマスの思い出」は「エサイの根から」という讃美歌の旋律をピアノが様々な情景を連想させるように素敵に仕上げられたピアノ曲なんだ。たとえば、聖夜に奇跡のように降り積もる雪、とかね。この曲で、クリスマスの様々な情景や特別な静けさをきっとすべての人に味わってもらえると思うよ。
だからね、田中さんのこの曲集は、ただの子供向けの曲集じゃなくて、彼女の個人的な情熱と青春時代の思い出が詠み込まれた特別な作品なんだよ。
『愛は風にのって』に込められた「特別な意味」とは?
ここまでド直球の曲集を出版することは作曲家としても勇気がいることだと思うし、彼女のこだわりのすべてがさらけ出されていると言っても過言ではないと思う。
そもそも「桐朋音大っていうもっともすぐれた音楽大学で世紀の大巨匠の三善晃に作曲を習う」っていうシチュエーション自体が特別すぎて、僕たちには雲の上の世界の話だよね。
ところが、それで話が終わらないところが、芸術のすごいところだよ。
彼女が「彼女にとっての特別」をこれでもかと追及して、死の死後に曲集として結実させたことが、僕らにとっても大きな意味を持つと思うんだ。僕は田中カレンさんは本当にすごいアーティストだと思うよ。
だからね、みんなにもこの曲を通して感じてほしい。みんなにとっての「特別なクリスマス」を。
田中カレンさんは、僕らの時代の作曲家、21世紀の作曲家なんだ。これからまたどんな作品を書いてくれるのかとても楽しみだよね。僕らの時代も、そんな奇跡のような時代なんだってことを伝えたいんだ。
それじゃあ、みんな、よいクリスマスを!
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